万年筆 書けない! インクが出ない!どうすればいいの?

こんにちは、文具屋のおやじ、ノボタンです

私が店に居ますと、お客様から色々なご相談(?)を受けるのですが、万年筆についての事もわりと有ります。

「書けない!」 と。

今日はそんな万年筆に関するトラブル(?)の事、そしてその解決法についてお話しさせていただきます。

1、カートリッジインクが入らない、インクが出ない。

・ 驚かれるかも知れませんが、意外と多いのは、ご自身がお使いの万年筆のカートリッジのメー        カ―が分っていらっしゃらない、と言う方。

・ 「これ買ったのだけど、入らない」。

見せていただくと、違うメーカーの物だったり。

→ 同じメーカーの物をお使いいただく。

・ また、プラチナ万年筆のカートリッジ、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、金属の小さ  い球がカートリッジの先端についてるのですが、万年筆に挿す力が弱すぎて、きちんと挿さっていなかったり。

・ パーカーやウォーターマンでも時々有るのは、カートリッジを挿しこむのが弱すぎて、カート      リッジのふた(?)が開いてなくてインクが出ていない。

→ 少し力を入れて挿し込む

・槍(やり)が折れてて、カートリッジが入らない

(やりと言うのは、カートリッジインクを挿す箇所)

カートリッジを挿す時に、力を入れ過ぎたり、回しながら挿した為、やりが折れてしまって挿せない。 (カートリッジは真っすぐ挿して下さい。回して挿してはいけません)

→ メーカーへ修理出し

2、インクは入ってる、でも書けない。

原因の90%くらいはインク詰まりによるものです。

ペンクリニックでの相談事でも、圧倒的に多いのはインク詰まりです。

万年筆は長い期間、全然使わずに放置しておきますと、インクの乾燥によるインク詰まりによって書けなくなることが有ります。

少なくとも半年に一度、出来れば3か月に一度は洗浄する

「万年筆を買ってから~年経つけど、洗ったことなど全く無い」と、言われる方が多いです。

万年筆は全然洗わずに放置していますと、ペン先にインクがこびりついて固まったり、ペン先の周辺もインクで汚れたり、紙の繊維をペン先に巻き込んでいることも有ります。

そうなると、カスレたり、場合によっては書けない、と言う事も起こります。

そんな場合は一度ご自身で万年筆を洗浄してみて下さい。

洗浄方法は、わりと簡単です。

水で洗うのです。

良く「えっ、万年筆、水に漬けても大丈夫なのですか?」ってよく聞かれます。

大丈夫です!

1,カートリッジ式の場合

カートリッジを抜き、ペン先が付いた本体を水道水を入れた容器に一晩漬けて置く。

翌日、水から出し、カートリッジを挿すところへ水道の蛇口から水を注ぎ、ペン先から出る水がきれいになれば、柔らかい布で水気を拭いて洗浄完了です。

2,コンバータを使用している場合

万年筆本体に入っているインクを出し切ってから、ペン先を水に漬けてインクを吸い上げる要領で何度も水を出し入れする。

何度か容器の水を替え、インク色が出なくなれば柔らかい布で水気を拭いて完了です。

3,尾栓を回転してインクを吸入する万年筆の場合

コンバータ式と同じく、インクを出し切ってからペン先を水に漬け、インクを吸い上げる要領で、何度も水を出し入れする。

容器の水を替え、インクの色が出無くなれば、柔らかい布で水気を拭いて完了です。

そうして洗浄しても書けない、と言う場合は店にお持ちください。

店にお持ちいただければ超音波洗浄機などで洗浄し、少し手入れをすれば治る事も有ります。

そしてそれでも書けない場合は、メーカーへ修理に出させていただきます。

4,古いカートリッジインクを使っている

書けない、と持って来られた万年筆と、一緒にお使いのカートリッジインクを持って来られる事があります。

それで、そのカートリッジインクを見ると-、買われてから5~6年や、もっと古いのを持って来られる事が有ります。

カートリッジインクは、出来るだけ3年以内くらいでお使い下さい。

3年は無理だとして、5年以内くらいに使い切ることをおすすめします。

カートリッジインクは、使わずに置いておくだけでも水分が少しづつ蒸発していきます。

そうなると、色が濃くなったり、場合によってはカスなどが発生して、ペン芯やペン先を痛めたり、金属部分が腐食する事も有ります。

万年筆を育てる

万年筆は他の筆記具と違い、使い込むほどになじんできて、書きやすくなります。

「万年筆を育てる」と言う感覚です。

それに大切に使うと、20年、30年~ もっと長く使えます。

お父さんが愛用していた万年筆をもらったとか、お爺ちゃんが使っていた古い万年筆が出てきた、とか、万年筆にはストーリーが良く有ります。

そんな筆記具は万年筆を置いて他には有りません。

万年筆の新しい楽しみ方

今、万年筆ばかりでは無く、物凄い数のインクが発売されています。

以前はブラック、ブルーブラック、ブルーくらいだった物が、今や千を超える種類のインクが出てきて万年筆の楽しみ方も、物凄く広くなってきています。

季節によって、色を変えてみたり。

また、パイロットの「カクノ」のように1000円と言う低価格ながら、とても取っ付きやすくて書き味の良い万年筆が出てきています。

透明軸の万年筆も有るので、何本かの万年筆毎に色を替えたり。

今まで万年筆は使った事が無い、とおっしゃる方も一度使ってみてはいかがですか。

書くことの新しい世界が広がるかも知れません。


終わり

最後までお読みいただき、有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 こんにちは、文房具屋のおやじ ノボタンこと、山路 昇です。

 生家は和歌山市の商店街の文房具店。 そこの三男として生まれ、育ちました。
  団塊の世代です。
 
 物心がついた頃、周りは文房具に囲まれていました。

 大学を出て東京で5年間レストランの会社でサラリーマン生活を経た後、和歌山に戻り、色々な経験を経て、現在も百貨店の文具売り場で日々お客様と接しています。
 
 この46年間、文具の仕事に携わってきた知識と経験を通して見た色々な事、文具の紹介などを書き連ねて行こうと思っています。

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