実印作りかた、大きさ、印材、書体はどう選ぶ?

こんにちは、文房具屋のおやじ、ノボタンです。

みなさん、「実印」はお持ちですか?

今までは必要無かったので持っていない、と言われる方が多いかも知れません。

ただ、自分の車を買うので要るようになった、保険に入るので、など様々な理由で実印が必要になった方がいらっしゃるかも知れません。

では、実印って何?、どこに売ってるの?、どんなのを作ればいいの?と言われる方に、今日は実印の事をお話しします。

 

先ず、判子・ハンコと印鑑の違いって分かりますか?

よく職場などで上司に「印鑑下さい」って言ったりしますよね。

実はこの言い方は誤った使い方なのです。

「印鑑」と「ハンコ」は別物なのです。

「印鑑」と言うのは”市区町村長などに届けてあり、必要に応じ証明がもらえる「印影」の事です。

そしてこの届けている印影を役所が証明して発行するものが「印鑑証明」で、この市区町村に登録した判子・ハンコが「実印」なのです。

「印鑑」と言うのは、押された判子が本物かどうかをチェックする台帳が「鑑(かがみ)」と呼ばれていたことに由来するそうです。

 

実印は、不動産取引や住宅ローン、保険の加入など、また車を購入する時などに要りますね。

その方にとってはとても大切な判子・ハンコなのです。

 

そして判子・ハンコって何でしょう?

判子・ハンコは個人や組織がその当事者であることを示す印であり、通常円形や楕円形、角型で棒状の「モノ」そのものを指します。

判子・ハンコは印章の俗称です。

実印作り方

実印は、その方にとって一番大切な判子・ハンコです。

不動産取引や、銀行ローンを組む時、自動車売買や保険の手続き、遺産相続をする時などに必要になってきます。

一般の方にとって実印を必要とされる機会というのは、それほど度々あるものでは無いと思います。

 

滅多に使わないのなら、わざわざ作らなくても安価な出来合いの三文判でもいいのでは?とお考えの方がいらっしゃるかも知れません。

でもそういう三文判は、同じ物が世間には沢山出回っていて悪用されるリスクは高いです。

大切なお金が関わる取引などに使う実印は、きちんとした物を作られる事をおすすめします。

では、どんなのを作ればいいのでしょうか。

 

押した印影の大きさは8㎜よりも大きく、25mmの正方形をはみ出さない、という市区町村が多いようです。

形は円形、楕円形、角型も登録出来ます。

基本は「姓・名」で作る

通常は苗字と名前、姓名で作ります。

女性の場合、結婚して苗字が変わる事も多いので、姓名の「名」だけを登録することも出来ます。

未婚で姓名を登録し、結婚して苗字が変わった場合、役所に「改印届け」を出して実印とする事も勿論出来ます。

大きさは

実印として作る大きさは、以前は印判店に相談すると、ご夫婦で作る場合、”男性は少し大きめで、女性は小さめで”、とすすめられる事も多かったようですが、今の時代、男女で差を付けるのもおかしい話で、同じ大きさで作るのがいいと思います。

姓名・フルネームで入れる場合は、13,5㎜~16,5mm丸の大きさをおすすめします。

16,5㎜の大きさですと、堂々とした印象になると思います。

苗字だけや「名(下の名前)」だけの場合は13,5㎜~15㎜丸がいいと思います。

 

印材は

では、実印の材質・印材はどんなのを選べばいいでしょうか。

象牙

実印の材質としては、象牙、牛角、彩華、本柘(ほんつげ)などの他、チタンも有りますが、朱肉とのなじみ良さ、捺印のしやすさ、風格と言う面から象牙が一番だと思います。

ただ、落下などの衝撃にはあまり強くないので大切に扱って下さい。

また、象牙と一口に言っても象牙のどの部分を取るかによって、色、価格に大きな差が有ります。

特に芯に近い中心の部分から取った象牙は、目がとても細かく美しい希少価値の高い最高級品です。

牛角

文字通り、牛の角です。

色目は白っぽい飴色の物や、模様が入ったり、色の濃淡がある物など様々です。

朱肉のなじみ良さ、耐久性も良く、実印におすすめします。

色の感じも優しいので、女性に人気が有ります。

私が居る店の価格は、サイズによって ¥20,700~¥25,300(税別)です。

黒水牛

「黒水牛」は牛の角を黒く染めた印材です。

耐久性に優れ、朱肉のなじみが良く、価格も比較的お手頃なので一番良く作っていただいてます。

ただ、長く使っていると色あせが生じることもあります。

私が居る店の価格は、サイズによって ¥13,800~¥16,100(税別)です。

彩華

彩樺は真樺(かば)の木にフェノールレジン(セラミックの一種)を高圧、高温で加熱処理して出来た比較的最近登場した印材です。

木目がはっきりしていて、耐久性の高さ、価格の手頃さや、エコな面からも人気が出てきている印材です。

私が居る店の価格は、サイズによって¥11,500~¥13,800(税別)です。

 

本柘(ほんつげ)

昔から印材としてなじみが有りますが、長く使っている内に、朱肉が染み込んで劣化したり、他の印材に比べて少し柔らかく、比較的印面の摩耗が早いので、実印の印材としてはおすすめしません。

チタン

強度があり、軽量、耐食性、耐熱性にも優れている為、産業用部材として多くの用途が有りますが、印材としても最近人気が出てきています。

印材としてはつや消し、鏡面加工をした物の他、カラーや、小さい石状の物を付けたものなど、色々なチタン印材が登場しています。

ただ、無機質な物の為、少し抵抗感を覚える方もいらっしゃいますが、これから広がって来るように思います。

 

書体は

書体には次の物が有ります。

吉相体(印相体)、篆書体(てんしょたい)、古印体、隷書体(れいしょたい)、楷書体など。

どの書体で無ければ駄目、と言うのは有りません。

 

吉相体

吉相体というのは篆書体を基に作った書体で、篆書体の文字と枠の隙間を少なくし、一見何と言う文字?と思うような個性的(?)な書体で、八方篆書体(はっぽうてんしょたい)とも呼ばれます。

篆書体

篆書体って何?と思われるかもしれませんが、身近な物としては、紙幣・お札に押されている書体です。

お手元にお札があればながめて見て下さい。赤い色で「日本銀行」と押されている、その書体です。

書体の中でも歴史の有る書体で、日本最古の判子も篆書体で作られています。

 

吉相体や篆書体は可読性が低く、また本人確認の為の安全性が高い、風格を感じさせるこの二書体ををおすすめします。

 

以上、実印についてお話しさせていただきました。

 

終わり

最後までお読みいただき、有難うございました。

 こんにちは、文房具屋のおやじ ノボタンこと、山路 昇です。

 生家は和歌山市の商店街の文房具店。 そこの三男として生まれ、育ちました。
  団塊の世代です。
 
 物心がついた頃、周りは文房具に囲まれていました。

 大学を出て東京で5年間レストランの会社でサラリーマン生活を経た後、和歌山に戻り、色々な経験を経て、現在も百貨店の文具売り場で日々お客様と接しています。
 
 この46年間、文具の仕事に携わってきた知識と経験を通して見た色々な事、文具の紹介などを書き連ねて行こうと思っています。

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