万年筆の正しい使い方とお手入れ方法、初心者が知っておきたい基本

こんにちは、文具屋のおやじ ノボタンです。

最近はカラフルなインクが増えたこともあり、「万年筆を使ってみたい!」という方がどんどん増えています。
しかも今は、1,000円前後でも書き味の良い万年筆が手に入る時代。
高級品と同じ感覚で楽しめるため、万年筆のハードルがぐっと下がりました。

今回は、万年筆の基本の使い方とお手入れのコツを分かりやすく紹介します。


万年筆の使い方

インクの入れ方

万年筆は、ボールペンやシャープペンと違って最初はインクが入っていません。
インクの入れ方には次の3つのタイプがあります。

  1. カートリッジ式
     差し込むだけで使える簡単タイプ。初心者におすすめです。

  2. コンバーター式
     ボトルインクから吸い上げるタイプで、インクの色を自由に楽しめます。

  3. 吸入式(ピストン式)
     本体後部のノブを回して吸入します。主に高級モデルに採用されています。

最初は手軽なカートリッジ式から始めましょう。
黒・ブルー・ブルーブラックなどの定番色で慣れてから、
コンバーターで好きな色を使うのも万年筆の醍醐味です。


正しい持ち方と角度

ペン先の刻印を上にして、人差し指と親指で軽く持ちます。
強く握る必要はありません。

万年筆は毛細管現象でインクが流れるため、
軽い筆圧でスラスラ書けるのが特徴です。

紙との角度はおよそ45度前後が理想。
キャップは本体の後ろに挿しても、挿さなくても構いません。
バランスを見て、自分が書きやすい方法を選びましょう。


インク漏れの原因と対処法

キャップの中にインクがついている

持ち運びの際、万年筆を横に振ったり揺らしたりすると、
ペン先からインクが飛び、キャップの内側につくことがあります。

その場合はティッシュや柔らかい布で奥まで丁寧に拭き取ってください。


軸からインクがにじむ

軸にひび割れがあるかもしれません。
何度拭いても同じ箇所から滲む場合は、販売店でメーカー修理を依頼しましょう。

修理には時間がかかることもあります。

  • 国産品:1か月くらい

  • 輸入品:2〜3か月以上
    古い万年筆は部品がなく修理できない場合もあります。


異なるメーカーのカートリッジを使っている

メーカーが違うと、カートリッジの差し込み口の形状が微妙に違うことがあります。
合わないカートリッジを無理に使うとインク漏れの原因になります。
純正カートリッジ、または純正コンバーターを使いましょう。


インク詰まりの原因と洗浄方法

長期間使わないとインクが乾き、ペン先や内部の細い通路に詰まりが生じます。
そのまま放置すると、首軸からインクが漏れることもあります。

洗浄手順

  1. カートリッジやコンバーターを外す。

  2. ペン先が付いた先端部分をコップの水に一晩浸ける

  3. 翌日、水道水をゆっくり流して中を洗う。

  4. 柔らかい布で水気を拭き取り、下向きにして乾燥させる。

これで多くのインク詰まりは解消します。


インクかすれの対処法

インクが出にくい・かすれる場合は、次の点を確認しましょう。

  • カートリッジやコンバーターのインク残量

  • 長期間使っておらず乾燥している

  • ペン先に紙の繊維やゴミがついている

軽い詰まりなら、上記の洗浄方法でほとんど改善します。


長持ちのコツは「使うこと」

万年筆は、使うほどにペン先が手になじみ、書き味がよくなります。
正しく手入れすれば20年、30年、あるいはそれ以上使える筆記具です。

以前、お客様が「父の形見のシェーファーを使いたい」とお持ちになりました。
洗浄と調整をすると、美しいインクフローがよみがえり、再び文字が書けるように。
その時のお客様の感動の笑顔は、今でも忘れられません。


万年筆の保管方法

  • インクを入れたままの場合は、乾燥しない引き出しの中で水平に保管

  • 月に1度は取り出して書いてみる。

  • 長期間使わない時は、インクを抜いてから保管


まとめ

万年筆は、デジタルの時代でも「手書きの温もり」を感じさせてくれる特別な筆記具です。
お気に入りの一本を見つけて、色とりどりのインクで自分だけの万年筆ライフを楽しんでください。


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文具屋のおやじ ノボタン
和歌山生まれ、文具業界47年。文具の楽しさや、役立つ情報や知識をお届けする「楽しい文具BOX」を運営中。百貨店文具売り場で日々お客様と接し、万年筆や祝儀袋、その他のお悩み相談もお任せ!
竹内まりやさん、ヘンリー・マンシーニの映画音楽が好きです。

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