みなさん こんにちは、文房具屋のおやじ、ノボタンです。
最近、万年筆を使いたいと言う人がとても増えています。
それは文具店の店頭で見かけることが多くなったり、雑誌などで万年筆インクの特集が組まれたりで、万年筆への関心が高まってきている事もその理由かも知れません。
今日は、その万年筆の話しです。
万年筆初心者
万年筆を初めて使うというのは、一体いつ頃でしょうか。
小学校に入学すると先ず鉛筆を使い、そして高学年になって来るとシャープペンシルを使い始める子供さんが多くなってくると思います。
また都道府県によって違いは有ると思いますが、中学生になって学校の授業で硬筆習字を始めるにあたり、万年筆で書くという学生さんも多いようです。
また、大人の人が硬筆書写をするのに万年筆を使うという人も多いです。
それでその時にどんな万年筆を選べばいいのか、というご相談を受ける事がよくあります。
そして店頭で実際に万年筆を持って試筆していただくと、ほとんどの方は万年筆の持ち方に戸惑います。
万年筆は、お箸を持つように、親指と人差し指で挟んで持ち、親指と人差し指のまたで支えます。
その時に、鉛筆やシャープペンシルなどと違い、ペン先の表面が必ず天井向きに持つようにします。
万年筆はシャープペンやボールペンと違い、ペン先を紙に当てるとインクがにじみ出てきて、万年筆の自重で字を軽く書くことが出来ます。
最初は戸惑うと思いますが、直ぐに慣れてきます。
万年筆は色々な物が出ています。
価格帯も税込で1100円くらいの物から、上は何十万円もする物まで様々な商品が有りますが、持ち方や書き方は基本的には同じです。
万年筆が初めてと言う方は、1000円位のもので始められるのもいいと思います。
例えば、パイロットのカクノなどは、初めての方にはお勧めです。
軽くて書きやすく、字幅も極細、細字、中字と揃っていて、使う目的や、またボディカラーも好みによって色々選べます。
本格的にカートリッジやコンバータも使用出来、価格も1000円(税別)と、とてもリーズナブルです。
万年筆カートリッジはどう使う?
万年筆はボールペンのように、最初本体にはインクは入っていません。
インクボトルからインクを吸い込むか、カートリッジを装着して書きます。
カートリッジインクは、万年筆のメーカーと同じメーカーの物を使用して下さい。
中には他のメーカーの物が使える事も有りますが、基本的には万年筆本体のメーカーと同じものを使用します。
私が店に居ると、お客様が「インクが出ない」と持って来られる事があります。
その万年筆を見ますと、違うメーカーの物を挿そうとしていて、挿せなくなっている物を見る事が有ります。
必ずその万年筆と同じメーカの物を使用してください。
また、インクカートリッジを万年筆本体に挿す時は、少し硬い時が有るかも知れませんが、決して回しながら挿したりせず、真っすぐに挿し込んで下さい。
回したりしますと、カートリッジを挿す部分(ヤリと言います)が折れる事も有ります。
また、カートリッジインクはあまり古い物は使わないで下さい。
未使用の物でも、長く放置した状態ですと、インクの水分が徐々に蒸発してインク成分がとても濃くなってる場合が有り、そういう物を使うと故障する事も有ります。
製造から約5年くらいまでに使うようにして下さい。
万年筆コンバータはどう使う?洗浄方法は?
万年筆にインクを注入する方法として、インクボトルからコンバータ使用してインクを吸い上げる方法が有ります。
コンバータは、コンバータの尾栓をくるくる回しながらインクを吸い上げるタイプと、尾栓をプッシュしてインクを吸い上げる物が有ります。
どちらも1回の操作では満タンに入らないので、2~4回繰り返して下さい。
コンバータを使用する利点は、カートリッジに比べると経済に有利と言う点と、色々なボトルインクのインクが楽しめる事が出来ます。
現在インクは物凄い数、種類のインクが登場しています。
気分によってや、季節によって色を変えるなどの楽しみ方が出来ます。
それから万年筆は半年に一度くらい、洗浄する事をおすすめします。
その時にはコンバータからインクを全て抜き取り、再度万年筆に刺しこんで真水を出し入れしてして下さい。
万年筆は長く使わずに放置しておくと、インクが乾燥してインク詰まりを起こしたり、ペン先に紙の繊維を巻き込んで、カスレやインクが詰まってしまう事があります。
そんな時にはコンバータが洗浄器になります。
万年筆インクが出ない時はどうする?
「インクが出ない」と、お客様が万年筆を持って来られる事がよく有ります。
それでその万年筆を見ますと、ほとんどは長く使っていなかった為に、インク詰まりを起こしているケースがほとんどです。
万年筆は本体内部から毛細管現象で、ペン先にインクが流れて字が書ける仕組みになっています。
その時にインクが通る細い管がインクの乾燥で固まっていると、そこで詰まって流れなくなり、書けなくなります。
そんな時は、何年も放置して(時には10年や20年)インクがガチガチに固まっていなければ、お家でも直すことが出来る事があります。
方法としては、本体からカートリッジやコンバータを外し、ペン先が付いた本体を真水か、ぬるま湯を入れた容器に入れます。
その時に決して洗剤などは入れないで下さい。
そして一昼夜程するとその容器はインク色でいっぱいになっています。
そこから万年筆を取り出し、今度は万年筆のペン先の反対側を水道の蛇口に向けて水を少しづつ出します。
そうすると最初は万年筆に残っていたインクで流水にインク色が付いていますが、だんだん色が抜けます。
そしたら柔らかい布やティシュで水気を拭き取れば洗浄は完了です。
そして新しいカートリッジを挿すか、コンバータでインクを吸入すれが書けるようになると思います。
その場合、万年筆本体に水気が残っていて、書いた文字は薄くなってるかも知れませんが、しばらくすれば濃くなります。
万年筆が書けなくなっているのは、インク詰まりが原因というのが多いですが、それ以外でもペン先の開き過ぎやペン先の先端部分のペンポイントが欠損していたり、色々なケースが有ります。
そのような場合には販売店に持ち込んで下さい。
メーカーに修理を出して修理します。
ただ、相当古い万年筆の場合、メーカーにも修理部品が無くて修理が出来ないというケースも有ります。
万年筆の修理には長い日にちがかかります。
メーカーよっても違いますが、海外製品は修理代の見積もりが出るまでも2か月かそれよりも長く、そこから修理にかかると更に日にちがかかります。
また修理代も、故障具合やメーカーによってもかなり違います。
まとめ:万年筆おすすめします
今、インクが大変なブーム(?)になっていて、店頭で見かける機会が増えてきたり、雑誌などにも取り上げられるケースが多くなってきています。
それと今、ふだん仕事ではパソコン打ったり、字を書くのもほとんどボールペンを使うと思います。
そんな日々をおくっている人が手紙を書いたり、日記を書く時に万年筆を使う人が増えてきています。
それは万年筆で文字を書くという時間が、自分に向き合うひと時になっているのかも知れません。
万年筆で書いた字の味わい、そこには上手とか下手とは関係なく、その人の個性、味が現れます。
万年筆はカクノのような鉄ペンを使用した物から、14金、18金、21金を使用した物まで色々有り、価格も国産の物で14金ペンを使用した物が16000円(税別)から有ります。
初めて万年筆を使う方にとっては、ペン先が鉄の方がなじみやすいかも知れませんが、少し慣れてくると、是非金ペンの物を使ってみて下さい。
金ペンは鉄ペンに比べると弾力性が有り、万年筆本来の良さを味わう事が出来ます。
価格は鉄ペンの物より高くなりますが、万年筆は大事に使うと10年、20年、もっと長く使う事も出来、使い込むほどに使う方になじんで心地よい書き味になります。
そのことを考えますと、2万円、3万円、それ以上の物でも決して高い買い物では無いと思います。
デジタルがいっぱいのこの世だからこそ、アナログな温かみ、良さが見直されてきているのでは無いでしょうか。
終わり
最後までお読みいただき、有難うございました。
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