カランダッシュとは?スイス発100年ブランドの魅力を文具屋が解説

みなさん こんにちは。 文具屋のおやじ、ノボタンです。

売り場に立っていると、「このペン、ちょっと高いけど、何がそんなに良いんですか?」
と聞かれることがあります。

スイスの文具メーカー「カランダッシュ」 のペンです。

六角形の金属ボディ、手に取った瞬間に分かる質感、
そして書き始めた時の、スッと安定する書き心地。
派手な主張はしないのに、なぜか「良い道具だな」と感じさせる――
それがカランダッシュの不思議な魅力です。

文具好きの方なら、一度は耳にしたことがある
「カランダッシュ(CARAN d’ACHE)」

ボールペンやシャープペンシルの印象が強いブランドですが、
その世界は非常に広く、鉛筆、色鉛筆、水彩色鉛筆、さらには革小物やバッグまで手掛けています。

・上質な素材、無駄のないデザイン、筆記具との統一感、

筆記具と合わせて使うことで、カランダッシュの世界観をトータルで楽しめるのも魅力です。

「書く道具を、大切に持つ」そんな姿勢が感じられるアイテムで、「書く・描く・持つ」をトータルで考える老舗ブランドなのです。


1915年、ジュネーブで誕生した老舗メーカー

カランダッシュの歴史は、1915年にさかのぼります。

スイス・ジュネーブで誕生したこの会社は、当初から「書くこと」「描くこと」を大切にし、

鉛筆や画材、そして筆記具へと製品の幅を広げてきました。

100年以上にわたりスイス国内で生産を続け、
品質と技術を守り続けている点は、世界的に見ても貴重な存在です。


「カランダッシュ」という名前の由来

ブランド名の「カランダッシュ」は、
ロシア語で鉛筆を意味する言葉に由来すると言われています。

鉛筆から始まったメーカーであることを、
今も大切にしている姿勢が、この名前に表れています。

スイスメーカーならではの特長

スイスと聞くと、多くの方が
精密機械・時計・品質の高さを思い浮かべるのではないでしょうか。

カランダッシュの筆記具もまさにそのイメージ通り。
金属加工の精度、ノック感、芯の出方、どれを取っても非常に完成度が高く、
「長く使える一本」を探している方にはぴったりのメーカーです。


人気の「エクリドール」六角形デザイン

カランダッシュを代表するシリーズといえば、
やはり 「エクリドール」 でしょう。

特徴は、美しい六角形のボディ
この形状は見た目の美しさだけでなく、
手にしっくりとなじみ、転がりにくいという実用面でも優れています。

金属の重厚感、彫刻や模様によるクラシックで上品な美しさ、そして飽きのこないデザイン。

落ち着いた大人の雰囲気。
発売から長い年月が経った今も、高い人気を保ち続けています。

■ 849シリーズ

また最近特に人気なのが 「849シリーズ」

カランダッシュらしい六角形ボディはそのままに、エクリドールシリーズに比べると価格も低めで、最も親しまれているシリーズです。
定番カラーから限定色まで、豊富なカラーバリエーションが用意され、「選ぶ楽しさ」もこのシリーズの魅力。
ギフトとして選ばれることが多いのも、納得です。

中でも、私が居る売り場では、シャープペンシルは中、高生の男子にとても人気があります。

理由を聞くと、
・見た目がかっこいい
・人と被りにくい
・しっかりした作りで長く使えそう

といった声が多く、
「ちょっと良いシャープペンを持ちたい」
そんな年代の気持ちに、しっかり応えてくれていると感じます。

海外メーカーでは珍しい、豊富なシャープペンシル

海外ブランドというと、
「万年筆やボールペンは強いけれど、シャープペンシルは少ない」
という印象をお持ちの方も多いと思います。

ところがカランダッシュは違います。

シャープペンシルの品ぞろえが豊富なのも、大きな特徴です。

■ レマン コレクション

丸軸で重厚感のある高級ライン。

スイスのレマン湖から名付けられたシリーズで、

  • エナメル仕上げ

  • 宝飾のような美しさ

ギフトや記念品として選ばれることが多いモデルです。


油性ボールペンの心臓部

「ゴリアット・カートリッジ」とは?

カランダッシュの油性ボールペンに使われているのが
「ゴリアット・カートリッジ」

この替芯の特長は、

  • 非常に長寿命(数km書けると言われる)

  • 安定したインクフロー

  • 最後まで書き味が変わりにくい

「一度入れたら、なかなか減らない」
これは誇張ではなく、実感として分かります。

👉 ペン本体だけでなく、中身も一級品
それがカランダッシュです。

カランダッシュのライター

最近はたばこを吸う人が減ってきましたが、
かつてカランダッシュは 高級ライター でも非常に有名でした。

カルティエ、ダンヒル、STデュポンと並ぶライターの四天王と呼ばれていました。

金属加工技術を活かしたライターは、
まさに“大人の持ち物”という存在。
その技術と美意識は、現在の筆記具づくりにも確実に受け継がれています。


「カランダッシュ」という名前は、
ロシア語で 鉛筆を意味する「карандаш(カランダシュ)」 に由来しています。

カランダッシュの原点は、やはり鉛筆です。

現在でも、非常に評価の高い鉛筆・色鉛筆を作り続けています。

特に色鉛筆、水彩色鉛筆は世界中のアーティストや愛好家から支持されており、発色の良さ、

芯の強さ、滑らかな書き味は一級品。

「描く道具」としての完成度は、まさにプロ仕様です。


原点にして最高峰 ― カランダッシュの鉛筆・色鉛筆

■ 鉛筆(グラファイト製品)

カランダッシュは、現在も高品質な鉛筆を作り続けています。
芯の精度が高く、硬度表示も安定しており、

  • 折れにくい

  • 書き味がなめらか

  • 紙への定着が良い

という点で、製図・デッサン・筆記いずれにも向いています。


■ 色鉛筆「ルミナンス 6901」

カランダッシュを代表する色鉛筆が
「ルミナンス 6901」 シリーズです。

特長は

  • 非常に高い耐光性

  • 深く、濁りのない発色

  • 芯が柔らかく重ね塗りに強い

プロのアーティストやイラストレーターから
世界最高峰クラスと評価される理由が、使うとすぐに分かります。


■ 水彩色鉛筆「スプラカラー」「ミュージアムアクアレル」

水彩色鉛筆も、カランダッシュの得意分野。

  • スプラカラー
    → 軽やかな発色、扱いやすさ

  • ミュージアムアクアレル
    → プロ向け、高耐光性・高発色

描いてから水を含ませると、
線が一気に水彩画のように変化します。

「描く楽しさ」を広げてくれる製品群です。

一本の文具が、書く時間を変えてくれる

カランダッシュは、
ただ見た目が美しいだけの文具メーカーではありません。

鉛筆から始まり、色鉛筆、水彩色鉛筆、ボールペン、ローラーボール、シャープペンシル、
そして革小物やバッグに至るまで、
「使う人の時間」を大切に考えてきたブランド です。

849のように、毎日気軽に使える一本もあれば、
エクリドールのように、年齢を重ねるほど手にしっくりくる一本もあります。

どれを選んでも共通して感じるのは、
「長く使ってほしい」という、ものづくりの姿勢。

もし、
・今使っているペンに少し物足りなさを感じている
・長く付き合える一本を探している
・書く時間を、もう少し丁寧に過ごしたい

そんな気持ちがあるなら、
一度カランダッシュを手に取ってみてください。

きっと、
「文具って、やっぱり面白い」
そう思わせてくれるはずです。

文具屋のおやじ ノボタン
和歌山生まれ、文具の仕事に携わって47年。文具の楽しさや、役立つ情報や知識をお届けする「楽しい文具BOX」を運営中。現在も百貨店文具売り場で日々お客様と接し、万年筆や祝儀袋、その他のお悩み相談もお受けし、お客様の文具選びのお手伝いをしています。

2025年には、文具の魅力をまとめた Kindle 本
『楽しい文具BOX』を出版しました。
文具の楽しさを、初心者の方にもわかりやすくお伝えしたいと思い、
万年筆・筆ペン・鉛筆・文房四宝など、幅広い文具情報を発信しています。
竹内まりやさん、ヘンリー・マンシーニの映画音楽が好きです。

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